コロナ禍で「換気ができる」「少人数でも利用しやすい」として人気を集めた焼肉店だが、2~3年前から倒産や廃業が急増した。
理由は分かりやすい。
輸入牛肉の高騰、円安、輸送コストの上昇、さらには電気・ガス代の高騰が直撃した。牛肉の仕入れ価格はコロナ前の1.5~1.8倍近くまで上昇したともいわれる。
それでも「安さ」を売りにしてきた店は値上げに踏み切れない。価格を上げれば客が離れる。だから利益を削って耐える。しかし、その我慢にも限界があり、体力のない店は力尽きる。
一方、餃子の王将も客足の鈍化が話題になっている。
冷凍餃子の普及や物価高による節約志向に加え、度重なる値上げによって客単価が上昇したことが影響している、と分析されている。
しかし、王将の場合はもう一つ見逃せない理由がある。
それは「何となく行かなくなった」という現象だ。
味が落ちたわけでもない。
接客が悪くなったわけでもない。
ただ行かなくなった。
そして一度足が遠のくと、その状態が習慣化する。半年、1年と経過するうちに、その店は生活の選択肢から消えていく。
「ただ行かなくなった」では、改善のしようもなく、店側にとって、これほど厄介な理由はない。
だからマクドナルドは月見バーガーや期間限定商品を投入し続ける。新規客の獲得だけでなく、「最近来なくなった客」を思い出させるためでもある。
この話はパチンコ業界にもそのまま当てはまる。
パチンコをやめた理由は人それぞれだ。
お金が続かなくなった。勝てなくなった。家庭環境が変わった。趣味が変わった。
しかし、一度ホールへ行かなくなると、その状態が当たり前になる。
そして気が付けば数年が経過し、パチンコそのものに興味を失ってしまう。
業界にとって本当に深刻なのは、この「習慣の喪失」だ。
しかし、一度ホールへ行かなくなると、それが習慣化する。
気が付けば数年が経過し、パチンコそのものへの関心が消えてしまう。
業界はこれまで「どうやって昔の客を呼び戻すか」を考えてきた。
しかし、本当に必要なのは、その前段階ではないだろうか。つまり、未来のファンを育てることだ。
マクドナルドにはハッピーセットがある。
子供の頃からマクドナルドの味に親しみ、大人になっても利用する。企業は何十年もかけて顧客を育てている。
ところがパチンコ業界には、その発想が決定的に欠けている。
かつてはアンパンマンなどをモチーフにした子供向けパチンコ玩具が存在した。玉が転がり、役物が動く楽しさに触れる機会があった。
しかし現在、子供がパチンコの面白さに触れる入口はほとんど存在しない。
そこで必要になるのが、遊技機メーカーによる子供向けパチンコゲームソフトの開発だ。
もちろん実機シミュレーターではない。大人がホールで打つパチンコをそのまま再現するものでもない。
発想はまったく逆だ。
風営法にも縛られず、パチンコ玉が画面内を飛び跳ね、複雑な仕掛けを突破し、役物が動き、ゴールを目指す。アクションゲームやパズルゲームの要素を取り入れながら、「玉が動く楽しさ」「予測不能な面白さ」を体験できるゲームだ。
いわば、ピンボールゲームとパチンコの融合である。
遊技機メーカーは何十年もかけて玉の動きや役物演出のノウハウを蓄積してきた。その技術をホールの外で活用しない手はない。
現在のメーカーは販売台数の減少に苦しんでいる。しかし、子供向けゲーム市場に参入できれば、新たな収益源にもなる。
さらに重要なのは、そのゲームで遊んだ子供たちが、5年後、10年後に「パチンコって面白そうだな」と思う可能性を残せることだ。
今の業界は既存客の奪い合いばかりだ。
しかし、業界が本当に考えなければならないのは未来の顧客づくりである。
王将が苦しむのも、焼肉店が淘汰されるのも、「行かなくなった客」を呼び戻す難しさがあるからだ。
パチンコ業界も同じ轍を踏んではならない。
未来のファンを育てる。
その第一歩として、遊技機メーカーが本気で子供向けパチンコゲームソフトを開発する。
それは単なるゲームではなく、10年後の業界を支える種まきになるかもしれない。
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