それが「広告宣伝ガイドラインの順守」である。
ある担当官は、業界に対して厳しい言葉を投げかけた。
「業界団体が自主的な取り組みとしてガイドラインを策定しているにもかかわらず、その趣旨を逸脱し、複数回是正勧告を受けるホールも存在する。SNS上では第三者を装った出玉イベントの告知や、広告宣伝であることを隠すステルスマーケティングも発生している」
さらに続けて、
「過度な射幸心をそそる広告宣伝は、業界全体にとってマイナスである。ガイドラインを策定・改定しても、守られなければ意味がない。違反事例が続けば、自主規制という仕組みそのものへの疑念につながる」という内容だった。
これは、単なる注意喚起ではない。
せっかく警察側が広告宣伝に関する規制緩和へ舵を切ったにもかかわらず、一部のホールが抜け道を探すような行為を繰り返せば、再び厳しい規制時代へ逆戻りする可能性があるという警告である。
業界にとって、自主規制とは単なるルールではない。警察行政との信頼関係の上に成り立っている制度である。その信頼を自ら壊すような行為を続ければ、将来的な規制緩和や制度改革を求めても説得力を失ってしまう。
そんな中、総会後の懇親会で、ある理事長が興味深い話を披露した。
「ホール4団体が集められ、警察庁から少し明るいテーマを頂いた」というのである。
それによると、現在、多くの業界が原材料費や人件費の高騰による値上げ対応に苦しんでいる。その中で、パチンコ業界についても4団体が一致した要望をまとめるのであれば、警察庁としても話を聞く姿勢があるという。例えば、景品単価の上限引き上げなどがその一例として挙げられる。
これは業界にとって大きな意味を持つ話である。しかし、ここで一つ疑問が浮かぶ。
自主的に作った広告宣伝ガイドラインすら徹底できない業界の要望を、本当に行政側が真剣に受け止めてくれるのだろうか。
現在、警察庁への要望については、業界内で7月17日までを目途に意見を取りまとめる動きがある。想定される要望内容としては、貸し玉料金の引き上げ、地域活性化を目的とした限定的な有価証券の導入、風営法からの切り離し、さらにはパチンコ業法の制定など、日報でも取り上げてきたテーマが並ぶ。
しかし、その前提として必要なのは、まず自分たちで決めたルールを守る姿勢である。広告宣伝ガイドラインを守れない状態で、大きな制度改革を求める姿は、外から見れば「自分たちに都合の良い改革だけを求めている」と受け取られかねない。
可能性としては貸し玉料金の値上げぐらいだろうか。ただ、4円の稼働が揮わない中で、貸し玉料金の値上げは、さらなるパチンコ離れにつながりそうではあるが。
警察庁が本当に業界の声を聞くのか。それとも、単なる様子見なのか。まず必要なのは、要望の前に業界自らが、信頼される存在になることである。
なぜなら、6月30日に警察庁の保安課長に着任した大門雅弘氏は、課長補佐時代(2013年~2016年)に高射幸性遊技機の撤去と遊技くぎの問題について、特に厳しく指導してきた過去があるからだ。それだけに、業界人からは「明確に厳しい人が戻って来た」と警戒する声もある。
2015年、業界を震撼させた一般入賞口問題では、次のような見解を示している。
「検定を取得した時の設計値によれば、一般入賞口に入る玉数は、10分間に数十個、1時間に数百個がコンスタントに入る性能で、一般入賞口に玉がほとんど入らなくない状態ならば、極端に性能が改変させられた遊技機が営業の用に供されていることとなり、異常な事態であると言わざるを得ません」とかなり踏み込んだ。
所謂、ベース殺し問題に食いついたのが民進党時代の高井崇志衆院議員で、この問題を国会でも取り上げ、遊技機に役比モニター設置に発展した過去がある。
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