遊技人口の減少、市場規模の縮小、利益率の低下――こうした環境下でホール経営の最大のテーマになっているのが、人件費の削減だ。
セルフカウンター、スマート遊技機、キャッシュレス決済の導入なども、突き詰めれば人手を減らしながら営業を続けるための取り組みである。
しかし、その一方で社会全体は真逆の方向へ進んでいる。
政府は少子高齢化による労働力不足と社会保障費の増大に直面している。そのため、年金受給の繰り下げや定年延長が重要な政策課題となっている。実際、定年を70歳まで引き上げる企業も珍しくなくなった。
政府が目指しているのは、元気なシニアができるだけ長く働く社会だ。
70代、場合によっては80代でも働き続けることで、給与所得と年金収入のWインカムにより、本人の生活が安定して老後不安も解消される。
特に年金だけでは生活が苦しい高齢者は少なくない。月6~7万円の年金生活者の中には、生活保護に切り替える人たちも出てきている。月11万円で医療費が免除になる生活保護の方が楽な生活になる。こういう人たちが増えれば社会保障費負担がまた増える。
そこで注目されるのが、高齢者が働きやすい職場だ。
警備員や清掃員はシニア雇用の受け皿の代表格だが、真夏や真冬の屋外作業は体力的な負担が大きい。
その点、パチンコホールはどうだろう。店内はエアコンが効いて、天候の影響を受けない。
さらに各台計数機やスマート遊技機の普及により、昔のような重い玉箱を運ぶ仕事も大幅に減った。
接客や巡回、簡単な清掃、景品交換の補助など、高齢者でも十分に対応できる業務は少なくない。もちろん、全ての業務がシニア向きというわけではない。
しかし、人と接することが好きで健康なアクティブシニアであれば、十分に戦力になる可能性を秘めている。
仮に最低賃金水準で月20日程度働けば、年金に加えてまとまった収入を得ることができる。ホール側にとっても、人材不足の解消につながる。
さらに高齢者雇用に対する補助制度や助成金が充実すれば、経営面でのメリットも生まれるだろう。
興味深いのは、ホール業界が「無人化」と「シニア雇用」という二律背反するテーマを同時に抱えていることだ。
無人化は人件費削減を目的とする。
一方でシニア雇用は人手を確保する取り組みである。
しかし、これは矛盾ではない。
単純作業は機械に任せ、人と接する仕事は人が担う。その役割分担が進んだ先に、新しいホールの姿があるのかもしれない。
市場縮小が続く中で、業界はコスト削減ばかりに目を向けがちだ。
しかし、これからの時代は「どんな人材をどう活用するか」も同じくらい重要になる。
人手不足が叫ばれる一方で、働く意欲のある元気なシニアは増えている。
パチンコホールが、その受け皿の一つになれるかどうか。
それは業界にとって、新たな可能性を秘めたテーマと言えるだろう。
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