南知多はかつて、海水浴と温泉で栄えた観光地だ。ピーク時には年間184万人もの海水浴客が訪れていたが、現在はわずか20万人まで激減している。レジャーの多様化により全国的に海水浴客が減ったことに加え、決定的だったのが、地域で最初に温泉を掘り当てたホテルの廃業だった。
そのホテルは、自前の源泉を周辺ホテルにも供給していた。いわば地域全体を支える“インフラ”だったが、廃業とともに源泉も止まり、他のホテルは温泉を失った。
自前で掘削したホテルは生き残っているが、新たに掘削する資金もないホテルが連鎖的に廃業していった。最盛期に200軒あった宿泊施設は、今や120軒にまで減少している。
オーナーのホテルも例外ではない。すでに廃業から10年以上が経ち、解体費用すら捻出できず、放置されたままだという。この光景が、今のパチンコ業界とダブる、とオーナーは語る。
ただ、南知多では危機感を抱いた行政が「街づくり委員会」を立ち上げ、「南知多ユニバーサルツーリズム」を掲げて再生に乗り出そうとしている。中部国際空港から車で30分圏内という立地を活かし、インバウンド需要の取り込みを狙う。飲食や物販を含めた総合的な観光拠点として再構築し、復活を目指す。
では、同じくシュリンクに直面するパチンコ業界はどうすべきか。
オーナーはこう持論を展開する。
「法令はさておき、クレーンゲームのように景品が取れる仕組みがあるのだから、パチンコとゲームセンターを融合し、高校生でも入れるような発想が必要だ。メーカーも共同出資でモデル店を作るべきだ。ホールが潰れればメーカーも終わるのだから」
発想としては一理ある。しかし、問題はその先にある。
なぜ「メーカーがやるべき」という話で終わるのか。
南知多は、行政が主導してでも変わろうとしている。地域が生き残るために、主体的に動いている。
一方でパチンコ業界はどうか。構造の問題、規制の問題を嘆きながら、具体的な行動は先送りされがちだ。
他力本願では、再生は起きない。
誰かがモデルを作るのを待つのではなく、自らが試し、小さくても変えていくしかない。
南知多の廃ホテルは、過去の栄光の残骸ではない。
動かなかった結果がどうなるかを示す、パチンコ業界の未来の姿そのものだ。
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