かつて日本では「水は買うものではない」という意識が強かった。蛇口をひねれば安全な水が飲める国である。しかし今や家庭用ウォーターサーバーは普及し、自動販売機には当たり前のようにミネラルウォーターが並ぶ。水は無料から「商品」へと完全に転換した。
経営陣が注目するのは、その収益構造である。仕入れ値は1本20円程度。それが5~6倍の価格で提供できる。端玉景品であっても、原価率は極めて低い。粗利構造は魅力的だ。日販ベースで見れば小さな数字でも、チェーン店全体で積み上がれば無視できない収益源となる。
そこで浮上するのが、自社ブランド化という発想である。既製品を仕入れるのではなく、プライベートブランドの水を販売する。発注ロットさえ確保できれば、オリジナル商品を作ることは難しくない。ラベルに店舗ロゴを入れ、縁起担ぎ勝てるイメージを作り上げることで、単なる景品から自社ブランド戦略へと昇華させることも可能だ。
さらに商品化はエナジードリンクへ向かう。もともと高単価が前提の商品であり、水以上に利益幅は大きい。実際、業界向け景品商社の中には、オリジナルブランドのエナジードリンクを販売している。OEM生産を活用すれば、参入障壁はそれほど高くない。
ここでポイントは、単なる物販強化にとどめないことである。PB商品は利益確保だけでなく、ブランド戦略の一環となる。例えば、来店ポイントとの連動、総付け景品など、販促ツールとしても機能させることだ。
もちろん在庫リスクや品質管理の課題はある。しかし、縮小市場においては粗利の取りこぼしを防ぐ工夫こそが生存戦略となる。水は最もシンプルな商品であるがゆえに、最も確実な需要を持つ。
水商売という言葉を地で行く挑戦…。端玉の1本の水が、ホール経営の新たな収益モデルへと化けるかどうか。その野望の行方が注目される。
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