市場規模は長期的な縮小を続け、ホール数も遊技人口も減り続けている。それにもかかわらず、抜本的な改革はほとんど進んでいない。業界が抱える問題は数多いが、その根底には「将来像を描ける人物の不在」があるように思える。
かつてはメーカーとホールは「車の両輪」と言われた。双方が利益を上げ、業界全体が成長していた時代だ。
しかし現在は様相が違う。
ホールは高額な機械代を負担し続け、メーカー主導の構図がより一層強まった。メーカーは販売台数の確保に追われ、ホールは機械代回収のために利益を優先せざるを得ない。その結果、「遊びやすさ」よりも「回収」が先に立つ悪循環が続いている。
業界が一枚岩になれない理由はそこにある。
さらに淘汰を乗り越え、生き残っているホール企業の多くは、不動産事業などパチンコ以外の収益源を持っている。
中には本業のホールよりも不動産収入の方が安定している企業も少なくない。
極端な話、パチンコ事業で大きな利益を出さなくても会社は成り立つ。だから危機感が薄れる。現状維持で十分と考える経営者が増えれば、改革を主導する人物など現れにくい。
本来、リーダーとは危機を語るだけではなく、夢を語る存在でなければならない。
メーカーもホールも、その夢に乗れば未来が開ける。そんなビジョンを示せる人間が必要だ。
では、その夢とは何か。
国内市場だけを見続けることではない。
人口減少が進む日本で、若年層のギャンブル離れも加速している。限られた市場の中で奪い合いを続けるだけでは、いずれ行き詰まる。
だからこそ視線は世界へ向くべきだ。
日本食が世界へ進出し、寿司やラーメン、うどんどころか、おにぎりまでもが各国で受け入れられているように、日本発の娯楽としてパチンコを海外へ展開する発想があってもいい。
しかし、そこには大きな壁がある。
日本人自身どころか、業界人までもが打たなくなった娯楽を海外へ持って行っても成功するはずがない。
国内で支持を失ったまま世界進出を語るのは、不味い料理を海外へ持ち込み、「なぜ売れないんだ」と首をかしげるようなものだ。
まずは日本国内で、もう一度「楽しい」と思われる遊びに戻すことが先決だ。
業界が総会のたびに掲げるスローガンは決まっている。
「安心して手軽に遊べる遊技環境の整備」
その一方で、「のめり込み防止対策」も強調する。
一見すると正しい主張だが、実はこの二つは簡単に両立できるテーマではない。
依存症対策を進めながら売り上げを伸ばす。
手軽さを訴えながら高射幸機で利益を確保する。
そこには常に矛盾が存在する。
だからこそ、本気で新規ファンを増やしたいなら、一度原点へ立ち返る必要がある。
大勝ちも大負けもほどほどで、気軽に遊べる。
勝っても負けても「また来よう」と思える。そんな遊技環境を取り戻した先にこそ、国内再生も海外展開も見えてくる。
業界に必要なのは、目先の販売台数や四半期決算を語る人ではない。10年後、20年後のパチンコの姿を語れる人だ。
「パチンコを世界に広げる」
その夢を本気で語り、そのために国内市場をどう変えるべきかを示せる人物。
そんなリーダーが現れない限り、業界はこれからも縮小という緩やかな下り坂を歩み続けることになるだろう。
夢を失った産業は衰退する。
だから今こそ、業界には利益ではなく未来を語るリーダーが求められている。
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