そんな中で浮上したのが、業界最大手のヤマダ電機と5位エディオンの経営統合である。
統合後の売上高は約2兆5000億円に達し、2位グループを大きく引き離す。しかし注目すべきは売上ではない。利益だ。両社を合わせた純利益は300億円強で、2位のノジマ1社の利益389億円を下回る。
つまり、規模は大きくても楽に儲かっているわけではない。だからこそ経営効率化や仕入れコスト削減のために再編へ動くのである。
実は家電量販店業界には、これまで追い風もあった。
晩婚化や未婚率の上昇によって単身世帯が増えたことだ。単身者でも冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンは必要になる。人口が減っても一定の需要を維持できた背景には、こうした社会構造の変化もあった。
しかし、その単身世帯の増加も2030年頃をピークに減少へ転じると予測されている。先を見据えれば、市場縮小は避けられない。だから業界再編を急ぐのである。
では、パチンコ業界はどうだろうか。
遊技人口の減少、市場の縮小という課題は家電量販店以上に深刻だ。それにもかかわらず、大規模な経営統合や抜本的な構造改革の話はほとんど聞こえてこない。
シンクタンク関係者はこう指摘する。
「この1年で遊技機メーカーの再編が本格化する可能性は高い」
理由は単純だ。遊技機販売台数が減り続けているからである。各メーカーは工場を抱えている。しかし販売台数が減れば稼働率は落ちる。工場は利益を生まないどころか、固定費として経営を圧迫する重荷になっている。
家電量販店が生き残りのために統合を模索しているのに対し、遊技機メーカーも同じ問題に直面し始めているわけだ。
もっとも、パチンコ業界にはもう一つの問題を抱えている。
遊技人口は減っているのに、売上は想像ほど落ちていない。これを業界の底力と見る向きもあるが、実際はそうではない。
減った客を、高射幸機でより多くお金を使わせることで帳尻を合わせているだけだからだ。
言い換えれば、「客数減少を客単価アップで補っている」状態である。
一見すると効率的に見えるが、実は最も危険な経営手法でもある。
なぜなら、客が減れば減るほど、残った客への依存度が高まるからだ。
その結果、業界はますます射幸性を求める。そして初心者やライトユーザーは益々近寄れなくなる。この悪循環を何十年も続けている。
業界は口を開けば「安心して手軽に楽しめる遊技環境の整備」を唱える。しかし実際は初心者ほど近づきにくい環境を作り続けている。これでは新規客が増えるはずがない。
ある業界関係者はこう語る。
「ギャンブル好きだけを相手にしていたら市場は先細りする。パチンコが本当に遊技だというなら、ギャンブルをやらない人でも気軽に遊べる環境を作らなければならない」
まさにその通りだろう。
そのために何が必要か。
答えは明白だ。
業界の高コスト体質から脱却することである。
最大の元凶は遊技機価格だ。
現在、新台価格は50万~60万円が当たり前になった。ホールはその回収を急ぐ。結果として釘は締まり、遊びにくくなる。
そして客が離れる。あまりにも分かりやすい悪循環だ。
本当に新規客を増やしたいなら、遊技機価格を半額程度まで引き下げるくらいの改革が必要だろう。
機械代が安くなればホールの負担は軽くなる。ホールの負担が軽くなれば、客から無理に回収する必要もなくなる。
家電量販店業界は、市場縮小を見据えて再編に動き始めた。
一方のパチンコ業界は、市場縮小を認識しながらも、未だに高射幸機と高価格機械に依存している。
果たして、先に現実を直視するのはどちらだろうか。
業界が本気で遊技人口の回復を目指すなら、「どうやって残った客からもっと取るか」ではなく、本気で「どうやって新しい客が遊べる環境を作るか」に発想を切り替える時だ。
今のままでは、再編だけでは済まず、市場そのものがさらに縮小していく未来しか見えてこない。
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